2016年10月17日 (土)~10月25日(日) 遊美工房にて

倉敷市玉島点てる玉島は、江戸時代商業港として栄えた港町で、茶の湯文化が花開き、往時には茶室が40もあったといわれています。
これらの茶室は玉島の歴史と文化を記憶する貴重な建築物で、現在は玉島茶室群研究会により現存する茶室を調査し茶室群として残す活動をされています。
今回は、茶の湯文化が残るこの土地で、4人の作家が独自の茶室のあり方を考え、現代の茶室を提示することで、玉島茶の湯文化の”一点”となる様”場と作家の共鳴”を目指しました。
ご高覧・ご体感いただければ幸いです。

ご案内
10月17日(土)・18日(日)は作品空間でお茶をいただくことができます。
料金:500円
   抹茶・茶菓子つき
定員:先着25名(現在は終了しています)

会期中の様子

 本展は、現代美術家・ガラス作家・陶芸家、異なる4人の作家が、独自の目線で、茶席のあり方を考え提示させていただくことで、茶の湯文化の残る土地「玉島」との共鳴を目指しました。 
 佐藤は「人が対時した時に生じる目に見る事の出来ないものを視覚化」し、清水は「畳や柱を花模様でしつらへ、日本建築のもつ素朴で清らかなイメージに対して、華やかな祭りの要素を盛り込んだ空間」を作り、森は「宇宙・地上・室内・触れるもの・身体の中の総てが繋がり、呼応していること」を表現し、役重は「繰り返される物をテーマに、五感を刺激する空間」を提示しました。

遊美工房点てる
  
SCN_0020 それぞれの作家が、永い歴史の中で育まれた「茶道」との相違点を探り形にすることで、個々の視線の違いや距離感が鮮明になり「茶のもてなし」とは何か、感じることができたのではないかと思います。
 私達が行った展示が、すぐに「玉島 茶の湯文化」に共鳴するとは思いませんが、この様な企画を継続し、数多くの作家が、時代に適した形を表現することで、個性ある茶室群を作ってきた先人達の想いを繋げることが出来るのではないかと思います。
written by Yoshihiro Yakushige


★出品作家
役重佳広役重 佳廣 Yoshihiro Yakushige 陶芸作家
里山は、自然と人間の営みの境界線にあり、自然と秩序と人間の習慣・文化を絶妙のバランスで共存させている。そこには、それぞれの風土から生まれる形を見ることが出来ます。私の物作りの理想も、それぞれの土地の記憶を留めた素材と自分の想いが互いに作用しあい、必然性のある形をみつけだすことです。
役重佳廣ホームページはこちらから

20151017_03森 美樹 Miki mori ガラス作家
自然と人間が共有する時間と空間の中、佇む気配と触れる行為との間で、宇宙へも拡がる全てを内包し凝縮したところへと繋がる。自然のその一瞬を掬い取るかのように、ガラス(光)に触れながら思う。

20151017_04清水 直人 Naoto shimizu 美術家
共通感覚(コモンセンス)のコモンにはふたつの意味があります。一つは、社会で人々が共通(コモン)に、正しい判断力(センス)という捉え方の中での「社会的な共通性」、もう一つは、諸感覚(センス)に相わたって共通(コモン)で、しかもそれらを統合する根源的感覚(共通感覚)です。対象的な認識によって捉えるのではなく、関与することにより、またはこの共通感覚をはたらかせることにより、作品を通して社会と人間のアクチャアリティー、時代性を問いたいと考えています。

20151017_05佐藤 史仁 Fumihito sato 現代美術家
人が物と対峙した時の捉え方、その物と人との関係性、その時に湧き上がる感情など、それら一つ一つの問いを展示し人を巻き込むことで自我と社会の間にある普遍的無意識を探る。